アレクサが働く洋品店に男がふらりと入ってきた。
ジョヴァンニ! 五年前から別居している戸籍上の夫だ。
ナポリで彼と恋に落ち、電撃的に結婚した彼女は、あまりに嫉妬深いイタリア人の夫に耐えきれず、新婚早々家を出た。
今さら私になんの用があるというのだろう。
ところが、ジョヴァンニは意外な事実を打ち明けた。
死んだと聞かされていた父親が実は生きていて、中東の国ハラスタンのシークだとわかったという。
「一緒にハラスタンへ行ってほしい。
僕の妻として」妻失格だとなじったくせに。
とうてい従うわけには……。
アンジーの愛する妹は、半年前にギリシアで亡くなった。
大富豪ニコラウス・キリアクー邸のバルコニーから転落死したのだ。
その大富豪がロンドンに暮らすアンジーに会いに来て、悔やみの言葉もそこそこに、妹の遺品のダイヤを返せと迫った。
彼女が身につけていたダイヤはキリアクー家に代々伝わる品だからと。
罪の意識などかけらもない彼の態度に、アンジーは憤った。
妹をもてあそび、死に追いやった男。
彼への憎しみが突きあげ、すんなりとダイヤを返す気が失せた。
それどころか、彼に地獄の苦しみを味わわせたい。
ふと絶妙な方法がひらめいて、彼女はダイヤ返還の条件を提示した。
キジアが勤めるレジャー企業グループのロンドン支社に、ギリシアの本社から社長のニコスが視察にやってきた。
ニコスはギリシア神話の神のようだと噂される男性で、初めて会ったキジアも彼の圧倒的な魅力に思わず息をのんだ。
群れをなす女性たちとの、寝室での評判も伝説的だとか……。
ニコスは広報部長の個人秘書であるキジアの仕事ぶりを見て、彼自身の個人秘書のポストに彼女を採用した。
求められているのは秘書としての最高の能力だとわかっている。
キジアは懸命に仕事をこなしつつも、彼への恋心を抑えきれない自分にうろたえていた。
ラスベガスで出会った男女が恋に落ち、一週間後に小さな教会で、立会人ひとりを前に挙式したのが一年前……。
今日はイギリス田園地方の教会で、おごそかな結婚式が行われる。
美しい花嫁アンバーの花婿になるレイフは伯爵家の御曹司だ。
式は今まさに結婚の誓いを立てるクライマックスにさしかかった。
そのとき男性の声が教会に響き渡った。
「異議を申し立てる!」振り向いたアンバーの目に映ったのは、イタリア人のグイード。
黒ずくめの彼は、まるで悪魔そのものに見える。
「彼女は結婚できる立場にはない。
なぜなら、ぼくの妻だから」そんな……あれは本物の結婚じゃないわ!足首の捻挫に始まり、パンク、そして解雇通告。
ティナの“十三日の金曜日”はそれで終わらなかった。
駐車場でポルシェにぶつけてしまい、そのあげく愛車が大破したのだ。
しかも、ゆえあって、この週末は帰る家もない。
ティナにとっての救いは、ポルシェの持ち主の優しさだった。
事情を聞いて彼女に同情した彼は驚くべき提案をした。
「どうせなら、僕の家に来ないか?今夜だけでも」ティナは彼の魅力に抗しきれず、一夜をともにする。
ところが翌朝、彼女は愕然とした。
かけがえのない初めての体験を何ひとつ覚えていない……。
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